【簡単解説】IPCLとは
1.IPCLとは
IPCL(Implantable Phakic Contact Lens)とは、角膜を削らずに目の中にレンズを挿入する視力矯正治療(眼内コンタクトレンズ)の一種です。
イギリスのEyeOL社から、2013年に発売されました。
その結果として、他の手法では難しい強度の近視や乱視、老眼の矯正にも対応しています。
費用目安は両眼で「40〜60万円」です。レーシックよりは高いですが、ICLよりも安価に抑えられる傾向があります。
使い捨てコンタクトレンズは月4千円程度と、考えると約10年程度で回収できる金額です。
「IPCL」「ICL」と「レーシック」の違い

視力矯正の選択肢として、よく「IPCL」と比較される「ICL」と「レーシック」は、どのような違いがあるのかそれぞれ簡単に比較表でまとめました。
| IPCL | ICL | レーシック | |
|---|---|---|---|
| 対象年齢 | 18歳~ | 21歳~ | 18歳~ |
| 手術方式 | 眼内にレンズを挿入 | 眼内にレンズを挿入 | 角膜を削って屈折を矯正 |
| 費用 | ICLより「安い」 目安:40〜60万円 |
IPCLより「高い」 目安:60〜70万円 |
安い 目安:25〜35万円 |
| レンズの 選択肢 |
5,005通り (度数35種×乱視11種×サイズ13種) |
992通り (度数31種×乱視8種×サイズ4種) |
なし (レンズ不使用) |
| 対応 | 強・中等度の近視、乱視から老眼まで含む幅広い度数 | 強・中等度の近視、乱視 | 軽〜中等度の近視・乱視・遠視 |
| 実績 | 30か国以上で15万枚以上 日本承認:2025年 |
75か国以上で200万枚以上 日本承認:2010年 |
世界で数千万人以上 |
| 元に戻せるか | レンズを取れば戻せる | レンズを取れば戻せる | 戻せない |
| 回復期間 | 約1〜2週間 | 約1〜2週間 | 数日で安定 |
| 老眼対応 | 〇 | ✕ | ✕ |
| 素材 | ハイブリッド親水性アクリル素材 | コラマー(Collamer®) | 角膜を削るため人工素材なし |
レーシックとは手術方法や、価格、老眼対応などの点が異なっています。
またICLと異なる点としては、主に以下があります。
- 18歳から施術を受けることができ、適応年齢が幅広い
- 多様な視力の矯正に対応している
- サイズの選択肢が多い
- 多焦点レンズに対応しており、老眼でお悩みの40代以降の方にも対応可能
一方でICLと同じなのは、角膜を削らずに、目の中にレンズを入れるという点です。
また、手術方法も、どちらも点眼麻酔で、約15分程度の日帰り手術で完了し、手術後のレンズ摘出が可能です。
「IPCL」と「ICL」の違いについて、詳しくは、以下の記事でまとめています。
関連記事:【簡単解説】「IPCL」「ICL」「レーシック」の違い
「IPCL」の老眼対応について
IPCLは、従来のICLと異なり、老眼にも対応ができる「多焦点レンズ」が存在します。
そのレンズを入れることで、見え方の改善が可能です。
そもそも「老眼」は目の老化現象で、目がかすむ、細かい字が読みにくくなるといった症状が40歳前後に始まると言われています。
目の中でレンズのような機能を果たしている水晶体が硬くなって調節機能が低下することが原因で起こりますが、「IPCL」では、根本治療はできません。
しかし、レーシックや従来のICLでは老眼対応が難しいため、老眼へのサポートと近視矯正を一度に行える点がIPCLのメリットといえます。
2.「IPCL」の費用について
IPCLの手術費用は、両眼でおよそ40〜60万円前後が目安です。
ただ、レンズの種類や、手術を受けるクリニックによって変動があります。
ICLよりもやや低価格に設定されており、老眼対応の多焦点タイプを選んでもICLと同等程度です。
公的医療保険は適用外(自由診療)ですが、医療費控除の対象になります。
3.「IPCL」のデメリットについて
IPCLはメリットの多い治療法ですが、以下のような点がデメリットとして挙げられます。
- 実績がICLよりも少ない
- オーダーメイド(乱視などの場合)なので、完成までに時間がかかる場合がある
- 他の施術と同様に、見え方に個人差がある
- 他の施術と同様に、年齢制限がある
IPCLは新しく登場した方法なので、実績はICLやレーシックと比べてまだ少ない状況です。
特に日本では厚生労働省の正式な認可を受けたのが2025年4月と、間もないため、症例数が限られています。
ただ、海外ではすでに30か国以上で15万枚以上の症例があり、確実に実績が集まりつつあります。
また、ICLと同様に、IPCLも通常のレンズであれば約1〜2週間で対応できますが、乱視対応など特注(完全オーダーメイド)の場合は、完成までに最大5週間程度要する場合があります。
急ぎの方にとってはデメリットですが、その分、最適な視界を追求でき、ご自身の目に究極までフィットする一枚が手に入るという点ではメリットにもなります。
その他のデメリットについては、一般的に多くの方が気になりがちな内容のため、簡単に下記でそれぞれまとめました。
見え方に個人差がある
多焦点IPCLでは遠近を同時に見せる設計上、まれに「夜間のハロー・グレア(術後に街灯や車のライトに輪がかかって見える)」や「コントラストの低下」を感じる方がいます。
時間とともに脳が順応するケースが多いですが、職業やライフスタイルによっては単焦点タイプを選ぶこともあります。
年齢制限がある
一般的にIPCLは18歳から60歳前後までが適応範囲とされます。
年齢に関係なく、目の形や病気、疾患などによって受けられない場合があるため、事前に担当の医師に不安な点などを踏まえて相談することが大切です。
【その他】白内障発症リスクの噂と見え方について
デメリットを調べる中で、白内障発症リスクについて噂を目にした方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、早期の製品ではリスクが指摘されたこともありますが、現在承認されている最新のIPCLは目の中での水分循環が保たれる設計になっており、臨床的に白内障発症率の上昇は報告されていません。(2025年時点)
ただし、50歳以上ではもともと加齢性白内障の確率が高まるため、個別に医師の判断が必要です。
4.IPCLの「手術の流れ」と「術後の対応」について
IPCL手術は入院不要の日帰り手術です。
麻酔は点眼による局所麻酔で行われ、手術時間は片眼あたり10〜15分程度で、翌日〜1週間程度で視力が安定するケースが多いです。
IPCLの手術の流れと、術後の対応について簡単にまとめました。
自然に開いて虹彩の後ろ、瞳孔の後方に固定されます。
所要時間は片眼10〜15分程度です。
手術翌日から軽い日常生活(デスクワーク・読書など)は可能です。
目をこする、化粧・運動・入浴などは数日間控えます。
5.「IPCL」のクリニック選びのポイント
IPCLは高度な屈折矯正手術なので、「医師の経験」や「レンズ選定精度」が大きく結果を左右します。
以下のようなポイントを基準に、クリニックを選ぶと安心です。
- 国内製造販売業者のトレーニングを修了した眼科医が在籍している施設
- 術前検査が詳細で、適応外の説明も丁寧にしてくれる
- ICL・レーシックなど他手術も比較説明してくれる
- 医師が日本眼科学会認定眼科専門医
一例として、「アイクリニック東京」「バプテスト眼科クリニック」「きくな湯田眼科」などがIPCLおよび多焦点モデルを提供しています。
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