【簡単解説】老眼対応可能な「IPCL」について
1.老眼とは&症状について

老眼とは、目のピントを調整する機能をもつ「水晶体」が加齢によって硬くなり衰えてしまうことで、近くのものが見えづらくなる老化現象のことを指します。
40代くらいから、「夕方になると近くが見えにくい」「近くを長く見たあとに遠くを見るとかすむ」といった自覚症状が徐々に始まることが多いとされており、主な症状としては、下記が挙げられます。
- 細かい文字が読みにくい
- 手元の文字がぼやける
- 暗い場所でものが見えにくい
- 目が疲れやすい
- 頭痛
- 肩こり
完全に元に戻すことは難しいと言われていますが、老眼鏡やコンタクトレンズなどによって矯正することができます。
2.「IPCL」とは

IPCL(Implantable Phakic Contact Lens)とは、角膜を削らずに目の中にレンズを挿入する視力矯正治療(眼内コンタクトレンズ)の一種で、老眼も含めた幅広い症例に対応ができるという特徴を持っています。
適応範囲は18歳からとされており、老眼の場合40〜55歳前後の方が主に受けられているケースがみられています。
また、一般的にIPCLの費用は、約40~60万円と、ICLなどよりも手に届きやすい価格となっています。(※クリニックやレンズの種類などによっても異なります)
IPCLについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
IPCL手術の流れについて
IPCL手術について、全体的な流れのイメージを簡単にまとめました。
- 術前検査日・精密検査をする
- レンズの発注
- 手術の3日前頃に、抗生剤の点眼をする
- 手術当日(点眼麻酔をしたうえで、2〜3mm程度の小さな切開を行い、眼内レンズを挿入し、固定する)
- 術後の経過観察(定期検診を受ける ※翌日・1週間後・1ヶ月後)
手術時間は片眼10〜20分程度で、日帰りが一般的です。
手術の流れについて、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
3.老眼対応の「IPCL」の特徴・メリット

IPCLは老眼の方にとって「今すぐ見える、老眼鏡をしなくていい」というメリットを手に入れつつ、将来の治療の選択肢を狭めない治療法です。
老眼対応の面からIPCLの特徴・メリットについてまとめました。
- レンズの種類が豊富なので、ICLなどと違って、老眼などを含む強度の近視にも対応できる
- ICLよりも対応年齢の幅が広い
- 白内障手術と異なって、水晶体を残すことができる
- 白内障が始まるのを待たずに、視力矯正手術が受けられる
- 老眼鏡が不要で、裸眼のまま日常生活を過ごせる
- レンズを交換・取り出すことが可能で、将来の変化にも対応できる
以前から存在していた眼内レンズ「ICL」は遠くが見えるようにできる仕様でした。そのため、老眼は未対応で、45歳くらいまで(老眼が始まる前)の治療が推奨されてきました。
しかし、最新の「IPCL」は多焦点タイプがあり、遠く・中間・近くなど複数の距離のピントを同時に合わせることができます。
これにより、老眼世代の方でも日常生活の大部分を裸眼で過ごせるようになる可能性があり、スマホや手元の文字を見るたびに老眼鏡をかけるストレスがなくなります。
また、IPCLの大きなメリットとして、将来の変化にも柔軟に対応できる点が挙げられます。
「白内障手術」は視力が低下した際の選択肢の一つとして挙げられますが、こちらは濁った水晶体を取り除き、人工レンズに置き換える手術です。
一方、IPCLは「自分の水晶体を残したまま」でレンズを挿入できる、つまり水晶体が温存できます。
そのため、万が一、将来的に白内障が進行した場合には、挿入したIPCLを取り出し、その時の目の状態に最適な通常の白内障手術へとスムーズに移行できます。
老眼に限らず、IPCLのメリットについて、詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
4.老眼対応の「IPCL」のデメリット・リスク

IPCLはメリットの多い治療法ではありますが、想定されるデメリットやリスクについて、まとめました。
- レンズによっては、IPCLの通常のレンズタイプよりも高額になる傾向がある
- 実績がICLよりも少ない
- オーダーメイド(老眼や乱視などの場合)の場合、完成までに時間がかかることがある
- 見え方に個人差がある
- 年齢制限がある
老眼対応のIPCLの場合、レンズの種類によっては、通常の価格よりやや高額になる傾向があります。(80万円前後)
また、IPCLはICLに比べると歴史が浅く、実績がまだ少ないことから、長期成績のデータが限られる点がデメリット・リスクとして挙げられます。
見え方についても、多焦点IPCLでは設計上、まれにハロー・グレアと呼ばれる、光がにじんだり、輪が見えたりする症状が出ることやコントラストの低下を感じる方がいるなど、個人差があります。
年齢に制限はありますが、一般的に年齢は18歳から60歳前後が適用範囲とされています。
IPCLのデメリットについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
白内障発症リスクについて
IPCLに関係なく、50歳以上になると加齢性白内障の発症リスクは高まるとされています。
最新のIPCLでは、臨床的に白内障発症率の上昇が報告されておらず、むしろ進行する前段階であればIPCLによって老眼の見え方を改善できる可能性があります。
白内障が進行した場合は、IPCLのレンズを取り出して、白内障の手術を受けるなどもできるため、主治医によく相談しながら検討することがおすすめです。
5.IPCL・ICL・レーシックの違い

IPCL・ICL・レーシックの違いを表形式でまとめました。
| IPCL | ICL | レーシック | |
|---|---|---|---|
| 対象年齢 | 18歳~ | 21歳~ | 18歳~ |
| 手術方式 | 眼内にレンズを挿入 | 眼内にレンズを挿入 | 角膜を削って屈折を矯正 |
| 費用 | ICLより「安い」 目安:40~60万円 |
IPCLより「高い」 目安:60~70万円 |
安い 目安:25~35万円 |
| レンズの 選択肢 |
5,005通り (度数35種×乱視11種×サイズ13種) |
992通り (度数31種×乱視8種×サイズ4種) |
なし (レンズ不使用) |
| 対応 | 強・中等度の近視、乱視から老眼まで含む幅広い度数 | 強・中等度の近視、乱視 | 軽〜中等度の近視・乱視・遠視 |
| 実績 | 30か国以上で15万枚以上 日本承認:2025年 |
75か国以上で200万枚以上 日本承認:2010年 |
世界で数千万人以上 |
| 元に戻せるか | レンズを取れば戻せる | レンズを取れば戻せる | 戻せない |
| 回復期間 | 約1〜2週間 | 約1〜2週間 | 数日で安定 |
| 老眼対応 | 〇 | ✕ | ✕ |
| 素材 | ハイブリッド親水性アクリル素材 | コラマー(Collamer®) | 角膜を削るため人工素材なし |
ICLやレーシックの場合、レンズの選択肢が限定的だったり、老眼の原因を補えなかったりして、老眼に対応できないケースがありました。
一方でIPCLはレンズの選択肢が多く、老眼や強度の近視などの矯正もできる新たな選択肢となっています。
IPCL・ICL・レーシックの違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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